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グリフィン開発プロジェクト
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植えられる所にはできるだけ緑を
帷子川のゆったりとした流れ。
  街の中を流れる小さな帷子川は、清流という流れではないが、それでも時折ボラの魚影を川沿いの遊歩道から見ることができる。「都会を流れる小さな川であっても、水辺というのものは、こんなにも気持ちが落ち着くものか」と設計士は今さらのように感じた。打ち合わせで現地をしばしば訪れるたびに、自分の設計が、この静かな環境にとても合致していたことを何度も確認して、安堵した。

今回の『グリフォーネ横浜・岡野公園』は、立地の関係で建ぺい率が60パーセントとなっている。敷地に対して、平面で見た時の建物の占める割合が6割ということだ。建ぺい率が100パーセントなら、敷地に対して効率良く建物が建てられるが、ここでは敷地の空きスペースがかなりできる。設計士はそれを逆手に取って、この敷地の余裕をいかに活かすかを考えた。

エントランス部分に高木を設けた。
  「空いている地面があるなら、何よりもまず緑だ」。都会に建つマンションであれば木々の緑とは縁が遠くなる。しかし、街の中の近代的なマンションだからこそ植栽が重要であることを設計士はまず第一に思い浮かべたのだ。

通常、敷地に余裕のない場合は、ゴールドクレストやグリーンコーンといった「低木」を植える程度の植栽になる。しかし、樹木として本当に見栄えがするのは、公園などに植えられているような背の高い「高木」だ。ところが、高木は幹が太く枝を広げ、さらに根を大きく張るため、植えるには広いスペースが必要になる。だいたい幹に対して枝を広げた輪郭くらいの広さが必要になるのだ。それが『グリフォーネ横浜・岡野公園』は特に建物の前面に余裕があるため、4本程度の高木を植えられることが図面上で明らかになった。これはなかなかないチャンスだ。そこで、建物正面の部分には高木を植え、加えて別の2カ所の花壇にそれぞれ「中木」を植える。

こうなると、設計士は緑を増やすことに、どん欲になってくる。元々の設計計画にはなかった駐車場スペースの両サイドにもわざわざ花壇を設けて、低木をズラっと植えることにした。

さらに、駐車場の地面にもこだわりを示した。通常はアスファルトにするところを、全面にタイルを敷くことにしたのだ。コストも手間も掛かるが、こうしたちょっとしたことが、“建ち上がった時の見栄え”に大きく影響してくることを設計士は長年の経験でよく理解していた。

そして、この設計に基づいてできがったパース(イラスト図面による立体の完成予想図)には、樹木の緑がいかに建物の雰囲気をなごませるかが、はっきりと描かれていた。
“一発目”のエントランスに懸ける
 建物正面にある花壇の一つは、正面左側の1階住居部分の目隠しになっている。40センチの高さの花壇に、180センチの高さの中木を植えているので、目隠しとしても効果的で見栄えも良い。

この住居前の部分と正面右側のエントランスを隔てるフェンスに、重厚な黒御影石を使っている。黒御影石は、さらにエントランス全体、2階のバルコニー外側にも使われて、建物全体に高級感と重厚感を醸し出している。

御影石のような天然石をふんだんに使うのは『グリフォーネ』や『グリフィン』のスタンダードスタイルであり、大きな価値にもなっているが、エントランスのデザインへ込める設計士の思い入れは強烈なものがある。マンションには、各々の自室のドア以前に、まずマンション全体の入口、エントランスがある。つまり住む人にとっても訪ねて来る人にとってもまず“一発目”であるエントランスに、設計士は思いを懸けるのである。外観部分で最もこだわる部分だ。

『グリフォーネ』や『グリフィン』の美しさを演出する大きな特長の一つに、「アール」つまり曲線を取り入れた設計がある。ここ『グリフォーネ横浜・岡野公園』でも建物全体に美しいアールが取り入れられている。

しかし、建物のデザインにアールを使うのは、実は非常に難しい。美しさや優雅さを程良く出しながら、しかも利便性を失ってはいけないからだ。例えばバルコニーに波のような曲線を使えば、それなりに斬新な感じは出るが、利便性という点では問題が残る。ここでも設計士は、アールの使い方に神経を遣ったが、エントランスのひさし部分はなぜかアールではなく完全な「角」になっている。

エントランスにひさしを付けたのは、やはり敷地に大きな余裕があることを逆手に取って、利便性を活かした結果だ。ひさしは道路上に突き出すわけにはいかないので、ひさしを充分に付けられるだけの敷地の余裕が必要になる。

「雨の日に玄関前の屋根の下で傘をたためること」は、特に仕事を終えて帰宅する人にとっての大きな“なごみ”となる。設計士は、エントランスにひさしが付けられることを、我がことのようにうれしく感じた。

このひさしのデザインで、設計士は図面を前に大いに迷い悩んだ。

アールにするかそれとも角にするか。建物全体を考え、前面部分のアールを見て、エントランス部分を凝視した。何度も考えが行き来し、その結果、図面上に、御影石のキリッとした、真四角のひさしが堂々とせり出してきた。この角がアールを引き立て、アールが角を生き生きとさせたのである。

次は、5階建てという建築上の条件をどう活かすかが課題だ。

周辺には緑が多く、横浜駅西口の賑わいから徒歩圏内というのが嘘のようだ。
つづく