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| 庇(ひさし)の10センチは譲れない |
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濃い色のタイルを張り、
重量感のある仕上がりに |
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こだわりの庇 |
ここ『グリフォーネ横浜・岡野公園』は、建物が5階建てであるために、屋上には看板を載せていない。高層ではないので、せっかく看板を載せても周囲から見えにくい。看板の代わりに、建物を見上げた時に自然に目に入るデザイン上の工夫をしなければならないと、設計者は考えた。あらゆる部分で『グリフィン』や『グリフォーネ』というブランドが持つ優雅さを、最大限に引き出したいからだ。
その前に設計士は、まず外観のちょっとした部分で工夫をしている。壁に深い色合いのタイルを張り、各階の間には濃い色の帯を付けることで、建物全体が重量感のある仕上がりになっている。この、幅にしてタイルわずか数枚分の帯が入るか入らないかで、建物の印象はまったく違ったものになる。
そして設計者が考えついたのは、最上階の上の部分、屋上に接する壁には単に色の帯ではなく、庇を付けることだ。それに装飾として「段々」も施す。ところが、これが意外にやっかいな設計と施工なのである。
5階建ての低層とはいってもマンションであることには変わりはないから、建物としてそれなりの大きさがある。その庇に付く段々が小さかったり、「彫り」が浅かったりしたら遠目にははっきりと分からなくなってしまう。建物の最上部に施すものだから、中途半端な凹凸ではなく、しっかりと見栄えのあるものにしなくてはならない。だが、段々を大きくして、出っ張りの幅を長くすると施工が難しくなってくるのだ。
この段々の出っ張りの幅は、タイル1枚分を縦に使った幅か、横に使った幅かということに必然的に決まってくる。タイルを切って使うと見栄えが悪くなるので、それはできない。タイル2枚分となると耐久性に問題が出てくる。中空に出っ張るものだから、出っ張らせる幅に限界があるのだ。そこで、耐久性が万全で、しかも見栄えが良いということになると、出っ張りの幅は、タイルを横に使うより縦に使うのが良いということになる。横に使うと、出っ張りの幅は、目地を含めて5センチ程度だが、縦に使うと10センチほどにもなるからだ。
しかし、この縦か横かでは施工の現場でずいぶんと苦労をすることになった。わずか5センチの差が、技術的には格段に難しくなる。だが、横に使って出っ張りが5センチでは、どうしても浅過ぎて優雅さに欠けることになる。縦に使って10センチならデザイン的には申し分ないが、技術的にはかなりの幅だ。結局、設計者が書いた図面は施工現場との話し合いで、寸法からタイルの張り方まで4回も書き直して、ようやく10センチの出っ張りで施工に漕ぎ着けた。
「デザイン」と「施工」はある意味では互いにせめぎ合うものでもあるが、それは、お互いに少しでも良いものを創造するという気持ちの表れでもあるのだ。 |
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